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【ブレンド】銀に響く

調香の研修を受けていたとき、卒業制作として提出したのがこの香りです。

雪の中で鳴り響く、津軽三味線の音色をイメージしました。

 

「銀に響く」

・ レモン        ・・・ 3 ・ ユーカリ・グロブルス ・・・ 2 ・ シダーウッド・バージニア・・ 2

・ ブラックペッパー   ・・・ 2 ・ カルダモン      ・・・ 1

・ ベチバー       ・・・ 1


 

躍動感と生命力。

地吹雪の刺す様な冷たさと、

その中で奏で続ける内側の熱さ、のコントラスト。

雪の下に隠れる土と光、

それを呼び覚ます様な力強い音色を

香りに託しています。



スピード感あふれるユーカリ・グロブルスとレモンのトップノートに、 吹き付ける雪と風の速さ、 そして三味線のアタックを重ねました。 明るさと透明感に満ちた組み合わせ。 クリアな空気感で、風邪の季節にもぴったりです。

その鋭く研ぎ澄まされた印象を あたたかさと力強さをもって受け止めるのが ブラックペッパーとカルダモン 吹雪に負けず響き渡る音色のように、 心にも体にも活気を与えてくれそうです。 シダーウッドバージニアは、このブレンドの芯ともいえる存在。 三味線でいえば音を生み出す弦。 まっすぐ伸びて 内と外を、 天と地を、 冬と春を、 つなぎます。 バランスをとってくれるシダーウッドバージニアの香り。 ブレンドの中でも、熱さと冷たさの懸け橋になっています。 土の匂いのベチバー 雪にもふらつかない足元と、その下に広がる大地、 しっかりと土地に根を張り生き続ける音色。 全体のきりっとした印象はそのままに、 ゆるぎない自信を与えるような安定感で支えます。


 

雪の音 風の音 土の音 銀色に響かせながら

つなぐ冬と、まわる冬と、

 

そんな景色の、香りです。


「津軽三味線」というのは、

ひつじやが初めて外部の調香講座に参加したとき、

とても心にのこった言葉。

資生堂でチーフパフューマーを務めていらっしゃった

寺嶋 有史先生がおっしゃった一言でした。


「トップからベースに向けて穏やかに変化するのではなく、

最初からハートノートががんっと香る」ような香調の流行を、

『津軽三味線のような』香りと表現されていて。


なんてインパクトのある、それでいてしっくりくる表現だろう、と

香りをめぐる言葉の豊かさに感動したのです。




わたしの津軽三味線は、大地に根差して残っていく香りですが、

インスピレーションの源泉となったのは、

間違いなくこのときの感動です。


香りを表現するという世界の豊かさを、

忘れずにいたいという願いをこめて。



(初出:2016.12.22.  rewritten&archived:2019.11.3)

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