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【ブレンド】砂浜、あしあと。

  • 執筆者の写真: 美央
    美央
  • 2019年9月1日
  • 読了時間: 2分

このブレンドが浮かんだのは、

季節外れに訪れた鮫の海岸でのこと。

「砂浜、あしあと。」

・ ローズマリー   ・・・ 2 ・ ジュニパーベリー ・・・ 3 ・ パチュリ       ・・・ 1 ・ ベチバー                ・・・ 1


その風景はまるで音楽のようで、絵画のようでした。


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計算しつくされたかのような曲線を描く波の跡、 その上を楽譜のように走る足跡、 うっすらとベールをかけたような霧と、白い空に番った海と。 霧雨と砂のにおい。

時間が止まったみたいでした。 あぁ、この感じを香りにしたい、と思いました。



海にのこるのは、波音。

砂にのこるのは、足あと。

空に続くのは海。

傘を鳴らす、雨の音と、

あたたかい手。



そんな景色を、香りに。

「海のしずく」の名前を持つローズマリー。 すぅっと染みとおるような香りは、 全体的に重めなブレンドに、紗のかかったようなほどよい透明感を与えてくれます。 ローズマリーの花言葉は「思い出」「記憶」。 古いフィルムに焼きつけたような景色にぴったりです。

ジュニパーベリーは、霧に濡れた松林から漂う空気。 八戸の海の、海岸に沿って針葉樹が並んでいるところがとても好きなのです。 ちょっぴりほろ苦いジュニパーベリーの香りは、 疲れた心を霧雨みたいに洗い流して、静かに、クリアにしてくれます。

水墨色の風景を、そのまま閉じ込めたみたいなパチュリ。 心の迷いや、乱れを落ち着け、自分の軸をしっかりと持たせてくれるような香りです。 波も空も風もぜんぶが、あるべきところにあってまったき、 ばらばらに見える足あとさえも調和のなかにあるような、落ち着き。

「静寂の油」とも呼ばれるベチバーは霧雨に濡れた地面。 地に足をつける、グラウンディングの代名詞とも言われるこの精油。 足元を見つめて、振り返ってみると足あとが軌跡を描いていて、 これからも続いて・・・そんなイメージが浮かんできます。


このときね、 お年を召したご夫婦が、仲むつまじく海岸を散歩していて、 その様子もとても、素敵だったんです。

お二人が歩くうしろに足あとができて、 それが、まるで人生の足あとみたいで。 霧みたいに静かで、やさしくて。


静かな霧雨の海。

穏やかな足取りで、歩いて行けそうな香りです。



(初出:2015.5.2.  rewritten&archived:2019.9.1)

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