2017.12.14(木)~18(月)
「色と香りの彩時記展」@はっち3Fギャラリー3
わたし自身の大きな挑戦について、
そして
その挑戦は、大切な人たち積み上げてきた時間があったからこそできた
ということを書きました。
そしてこの「色と香りの彩時記展」でも、
ひつじやは、
大切な人と積み上げてきた時間があったからこそ踏み切れた
大きな挑戦をふたつ、しました。
そのひとつが「同系統のみによる調香」です。
具体的にいうと、
この展覧会では四季になぞらえて色と香りを展示しているのですが
冬(イエロー)の香りはシトラス系のみ
春(ピンク)の香りはフローラル系のみ、
夏(ブルー)の香りはハーバル系のみ、
秋(ベーシックカラ―)の香りはウッド・レジン系のみで調香しています。
調香の大原則として、
揮発性の異なる香りをバランスよく配合するという考え方があります。
そして、個性ある香りを調べるためには、
抽出部位の異なる香りを組み合わせるのが一般的です。
もちろんこれらは基本であり、
臨機応変に組み合わせられるのですが、
ひつじやはこれまで、
同系統のみの調香に踏み切れませんでした。
それはたとえば、
黄色だけのコーディネートが難しいことに、
打楽器だけのアンサンブルが難しいことに、
お肉だけのお料理が難しいことに、
少し似ています。
彩時記では
一つの季節ごとにテーマを設け、
そのテーマに沿った「色」と「香り」の系統を展開することで、
その広がりや、
ひとりひとりの感覚があるということを
表現することが目標でした。
同じ黄色にもこんなにちがう表情がある。
そしてそれらが並んだ姿はとても美しかった。
であれば、
同じ柑橘系にもこんなにちがう表情があり、
それらが調和した美しさも、わたしは見てみたかったのです。
柑橘なら柑橘だけと、じっくり向き合いました。
明るくやわらかいオレンジ、
鋭く澄んだレモン、
それらをすべて同じ割合でただ混ぜ合わせるのではなく、
一人ひとりが生きるように。
すると、
これまで気づかなかった、
それぞれの香りの個性について、
より深く感じる時間を持てました。
そして、
そうやって生まれた香りたちは、
どのひとつにも似ていなくて、
どれにでも似ていた。
実なら実の、
花なら花の、
イデアのようなものに想いを馳せることができる時間でした。
feelさんと過ごした彩時記の一年間がなければ、
わたしはこうした調香をすることなかったと思います。